サクバットQ&A
Q2.サクバットはいつ頃できましたか?
先祖はまっすぐな管の先端を広げマウスピースをつけたシンプルなトランペットで、紀元前のエジプトなどでも演奏されていました。それを持ち運びの利便性のために曲げたのがナチュラルトランペットで、そのベルの部分を伸縮出来るようにしたスライドトランペットが、サクバットの直接の祖先にあたります。 |
Q3.サクバットの特徴は?細身で柔らかく繊細な音色です。
同時代の仲間である木管のコルネット(木を角型にくり抜いたものを上下に貼り合わせて皮で巻き、マウスピースをつけて吹いた。イタリアではコルネット、ドイツではツィンクと呼ばれ、柔らかく郷愁を帯びた独特の音色を持つ楽器)と形状が似ているため、主に教会で一緒に使われる事が多かったようです。
また一方、アルタアンサンブルという形態でショーム(木管で内部にダブルリードが仕込まれていて、けたたましい音が出る)と共に賑やかで勇壮な音楽も奏でていたようです。 |
Q4.普通のトロンボーンとはどこが違いますか?
どちらかと言うとベルの部分は筒型っぽく広がりが あまりなく、寸胴な感じです。(現代のトロンボーンのベル径は25cmくらいですがサクバットは11cmくらい)時代と共に拡声的な需要からベルは大きくなって行き、クラシカルトロンボーンと呼ばれる古典期に用いられたものは、細身の管にトランペットのような拡がったベルがついています。 |
Q5.サクバットではどんな曲を吹きましたか? ヴェネツィアで16世紀に活躍したG.ガブリエーリが「ピアノとフォルテのソナタ」で初めて楽器や強弱を指定したと言われており、それ以前はソプラノ、アルト、テナー、バスという声部の指定しかありませんでしたので、編成はかなり自由でした。それに一人の奏者が幾つもの楽器が演奏出来るのが普通で、持ち替えは頻繁にされていたようでした。そして、楽長は歌手や楽器の割り振りがウデの見せ所!という訳です。 |
Q6.サクバットのレパートリーにはどんなものがありますか? サクバットはコルネットと共に早い時期から半音階が吹けたので、教会で讃美歌を歌う時に伴奏として、ソプラノパートはコルネットで、アルト、テナー、バスパートはそれぞれのサクバットで、合唱と一緒に吹いて手助けしていました。その延長でバッハ、モーツァルトなどの宗教曲や、ベートーヴェン、ハイドンなどのオラトリオ、合唱付きの曲でもトロンボーンが合唱と一緒に使われる事が多いのです。 |
Q7.サクバットのCDにはどんなものがありますか? サクバットの入っているアンサンブルのCDでは下記のグループのものが秀逸です。 |
Q8.コンサート、CDなどで活躍するサクバット奏者は誰ですか? Charles Toet |
Q9.サクバットの楽器メーカー及び入手方法は? Ewald Meinl(ドイツ)イチオシです! 上記のメーカーは信頼がおけます。それぞれホームページでネット注文が可能です。(英語でOK)多分どのメーカーも注文生産なので、注文から入手まで早くても半年は覚悟です。(メーカーにもよりますが、ベルの位置が4ポジションのバロックタイプの他、3ポジションに来るモダンタイプもあり、唾抜きの有無や装飾の希望などのオプションも沢山あるので、自分だけのオリジナル設計の楽器を作って貰う事も出来ます!)
Wessex (イギリス) |
Q10.マウスピースは?Werner Chr. Schmidt BTP5(バロックテナーポザウネ5番 銀メッキ)は、イチオシです! Egger リムが平らなバロックタイプ、口当たりが柔らかくリムが丸くなったモダンタイプ、メッキの有無などが選べます。 JK(ヨットカー)はドイツのメーカーで、リムは平らですが縁の仕上げがなめらかで、口当たりは柔らかく吹きやすいです。アルト、テナー、バス2種類づつ出ています。
|
Q11.どうやってサクバットを勉強すればいいでしょうか? モダンのトロンボーンと違っていて特に勉強しなくてはいけない点は、アーティキュレーションや強弱のまるで書かれていない楽譜を見て、いかにフレーズを作り出し、音楽的に演奏できるか?という力を養う事です。古楽の基本文法は、とにかく前述した素晴らしいCDやコンサートをたくさん聴いて感覚を取り込むことです。装飾法や、ディミニューション(分割法)という細かい音のテクニックのためには以下のエチュードがお薦めで、今フランスのサクバット科の先生ダニエル・ラサールが授業で使っているものです。
他に入手可能な楽譜としてリコーダー用の「笛の楽園」Jacob van Eyck「Der Fluyten Lust〜hof 」は装飾のパターンを覚えるために、とても勉強になります。 ヨーロッパではサクバットコースのある古楽のための講習会もあり、フランス、ノルマンディーのLisieuxや、イタリア、マルケ州Urbinoなどでは毎夏素晴らしい講習会があります。昼間はレッスンやアンサンブル、夜は充実した講師陣による教会などでのコンサートが目白押しで、古楽ファンには堪らないイヴェントです。 |
|