Love from SACKBUT/宮下宣子 サクバットのページへようこそ!!

サクバットQ&A

Q1.サクバットって何ですか? Q2.サクバットはいつ頃できましたか? Q3.サクバットの特徴は? Q4.普通のトロンボーンとはどこが違いますか?
Q5.サクバットではどんな曲を吹きましたか? Q6.サクバットのレパートリーにはどんなものがありますか? Q7.サクバットのCDにはどんなものがありますか? Q8.コンサート、CDなどで活躍するサクバット奏者は誰ですか?
Q9.サクバットの楽器メーカー及び入手方法は? Q10.マウスピースは? Q11.どうやってサクバットを勉強すればいいでしょうか?  

 

Q1.サクバットって何ですか?

アルト、テナー、バスサクバット

昔のトロンボーンの事です。

英語:sackbut(サクバット)
イタリア語:trombone(トロンボーネ)
(語源:tromba=トランペット → trombone=大きなトランペット)
フランス語:saqueboutie(サクブーティ)
(sackの語源はsaque=引く、butの語源はboutie=押す)
ドイツ語:Renaissance Barocke Posaune(ルネサンス・バロック・ポザウネ)
つまり、サクバット、トロンボーネ、サクブーティ、バロックポザウネシは、全て同じものをさします。そして音域によりアルト、テナー、バスがあります。

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Q2.サクバットはいつ頃できましたか?

スライドトランペットとサクバット

 先祖はまっすぐな管の先端を広げマウスピースをつけたシンプルなトランペットで、紀元前のエジプトなどでも演奏されていました。それを持ち運びの利便性のために曲げたのがナチュラルトランペットで、そのベルの部分を伸縮出来るようにしたスライドトランペットが、サクバットの直接の祖先にあたります。
 元々のトランペットは長く、今のトロンボーンと同じ長さでした。トランペットは上の音域を受け持っていたので、上の音域は倍音が多くて、自然倍音で何となく音階も吹けました。しかしトロンボーンは倍音が離れている下の音域が担当なので、動けるスライド管をU字にする事で伸びる長さを倍に出来る発明により、やっと全ての音階を吹けるようになって、サクバットが完成しました。それは15世紀の半ば過ぎと言われています。活躍したのは16、17世紀で、その後は大きな音を要求されたりしてどんどんベルが大きく、鳴り易いように変化して今に至っています。
 サクバットの特徴は細身で柔らかく繊細で、教会のように良く響くところでその本領を発揮します。

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Q3.サクバットの特徴は?

 細身で柔らかく繊細な音色です。

コルネット

 同時代の仲間である木管のコルネット(木を角型にくり抜いたものを上下に貼り合わせて皮で巻き、マウスピースをつけて吹いた。イタリアではコルネット、ドイツではツィンクと呼ばれ、柔らかく郷愁を帯びた独特の音色を持つ楽器)と形状が似ているため、主に教会で一緒に使われる事が多かったようです。

アルタアンサンブル

 また一方、アルタアンサンブルという形態でショーム(木管で内部にダブルリードが仕込まれていて、けたたましい音が出る)と共に賑やかで勇壮な音楽も奏でていたようです。

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Q4.普通のトロンボーンとはどこが違いますか?

サクバット、クラシカルトロンボーン、モダントロンボーン

 どちらかと言うとベルの部分は筒型っぽく広がりが あまりなく、寸胴な感じです。(現代のトロンボーンのベル径は25cmくらいですがサクバットは11cmくらい)時代と共に拡声的な需要からベルは大きくなって行き、クラシカルトロンボーンと呼ばれる古典期に用いられたものは、細身の管にトランペットのような拡がったベルがついています。
 しかし、違いを語る上で最も大切なのは吹き方で、古楽では特に歌と共に演奏する事が多いせいもあり、古楽唱法でも最も大切とされる『メッサ・デ・ヴォーチェ』と言ってゼロ発進して音終わりに向かって、または、溜息のように音のお腹の部分を膨らませて、響きを創り出すような奏法がサクバットでは非常に特徴的です。

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Q5.サクバットではどんな曲を吹きましたか?

 ヴェネツィアで16世紀に活躍したG.ガブリエーリが「ピアノとフォルテのソナタ」で初めて楽器や強弱を指定したと言われており、それ以前はソプラノ、アルト、テナー、バスという声部の指定しかありませんでしたので、編成はかなり自由でした。それに一人の奏者が幾つもの楽器が演奏出来るのが普通で、持ち替えは頻繁にされていたようでした。そして、楽長は歌手や楽器の割り振りがウデの見せ所!という訳です。
 楽器がかなり指定されるようになる17世紀では前述のガブリエーリ、モンテヴェルディ、カステッロなどが宗教曲に使っています。神、天国、地獄、死などを描くのに使われる事が多かったようです。モンテヴェルディの時代のサン・マルコ大寺院では10本のサクバットが使われた記述があり、また、モンテヴェルディ作曲のオペラ「オルフェオ」では地獄のシーンのために4本のサクバットが指定されています。

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Q6.サクバットのレパートリーにはどんなものがありますか?

 サクバットはコルネットと共に早い時期から半音階が吹けたので、教会で讃美歌を歌う時に伴奏として、ソプラノパートはコルネットで、アルト、テナー、バスパートはそれぞれのサクバットで、合唱と一緒に吹いて手助けしていました。その延長でバッハ、モーツァルトなどの宗教曲や、ベートーヴェン、ハイドンなどのオラトリオ、合唱付きの曲でもトロンボーンが合唱と一緒に使われる事が多いのです。
 モンテヴェルディ、モーツァルトなどのオペラでは地獄のシーンや宗教的な意味のある場面で使われています。特筆すべきはモーツァルトの初期のオペラ「第一戒律の責務」にトリルを多用したトロンボーンのソロがあります。名手がいたらしいです。
尚、どの時代にサクバットが使われ、いつからクラシカルトロンボーンに変わったか?モダンになったか?などは、地域や財政状態にもより、一概に断言できないところですが、一般にバロック時代まではサクバット、古典派からはクラシカルが使われていた、とされています。
 サクバットを多用した作曲家としてはガブリエーリ、シュッツ、シャイト、シャインなどが挙げられます。
 ソロの分野では、他の楽器の為にはたくさんソロ曲を書いているヴィヴァルディやテレマンなどに、サクバットのための曲がないのが大変残念です!!ヴィヴァルディのいた女子修道院にサクバットがなかったとか、テレマンはサクバットが宗教的な楽器なので敬遠したのではないか、とか、当時のスライドは運動性に問題があった、などの理由が考えられますが、真相はわかりません。

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Q7.サクバットのCDにはどんなものがありますか?

 サクバットの入っているアンサンブルのCDでは下記のグループのものが秀逸です。
 Concerto Palatino
 Les Saqueboutiers de Toulouse
 Hespèrion X X
 His Majestys Sagbutts Cornetts
 Ensemble Doulce Memoire

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Q8.コンサート、CDなどで活躍するサクバット奏者は誰ですか?

 Charles Toet
 Wim Becu
 Daniel Lassalle
 Michel Becquet
 Stefan Legee
 Franck Poitrineau
 Adam Woolf✴
 Jörgen Van Rijen✴
 Fabrice Millischer✴
 Nobuko Miyashita✴
 (✴はソロアルバムあり)

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Q9.サクバットの楽器メーカー及び入手方法は?

 Ewald Meinl(ドイツ)イチオシです!
 Egger(スイス)
 Heide(ドイツ)
 Voigt(旧東ドイツ)
 Finke(何とトリガー付きがあります)

 上記のメーカーは信頼がおけます。それぞれホームページでネット注文が可能です。(英語でOK)多分どのメーカーも注文生産なので、注文から入手まで早くても半年は覚悟です。(メーカーにもよりますが、ベルの位置が4ポジションのバロックタイプの他、3ポジションに来るモダンタイプもあり、唾抜きの有無や装飾の希望などのオプションも沢山あるので、自分だけのオリジナル設計の楽器を作って貰う事も出来ます!)
 Voigtは新大久保の楽器店DACで直輸入販売されています。他にもいくつかメーカーがあるようですが私は吹いた事がありません。中古品がネットのサイトで時々出ることがあります。興味のある方は頻繁にチェックするといいかもしれません。

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Q10.マウスピースは?

 Werner Chr. Schmidt BTP5(バロックテナーポザウネ5番 銀メッキ)は、イチオシです!

 Egger リムが平らなバロックタイプ、口当たりが柔らかくリムが丸くなったモダンタイプ、メッキの有無などが選べます。

 JK(ヨットカー)はドイツのメーカーで、リムは平らですが縁の仕上げがなめらかで、口当たりは柔らかく吹きやすいです。アルト、テナー、バス2種類づつ出ています。
  Willie's は日本の誇るマウスピースメーカーで、サクバット用にはリムが丸くモダンとの持ち替えがスムーズな白濱モデル(スロートが違うS・M・L)があります。日本語で相談に応じて作って貰えるのが大きな利点です。


 尚、サクバットはメーカーやタイプによってシャンクがいろいろで、メーカーで付けてくれるものは大丈夫ですが、そうでない場合は(例えばEggerの楽器とSchmidtのマウスピースの場合や、Meinlの楽器でも太め、細めのタイプがあるetc.)ピッタリ行かない場合もあるので要注意です!

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Q11.どうやってサクバットを勉強すればいいでしょうか?

 モダンのトロンボーンと違っていて特に勉強しなくてはいけない点は、アーティキュレーションや強弱のまるで書かれていない楽譜を見て、いかにフレーズを作り出し、音楽的に演奏できるか?という力を養う事です。古楽の基本文法は、とにかく前述した素晴らしいCDやコンサートをたくさん聴いて感覚を取り込むことです。装飾法や、ディミニューション(分割法)という細かい音のテクニックのためには以下のエチュードがお薦めで、今フランスのサクバット科の先生ダニエル・ラサールが授業で使っているものです。
 D.LASSALLE著
 TrombOlympic - Bienvenue en Enfer FLEX editions
 http://www.flexeditions.com/lassalle-methode-trombolympic-bienvenue-en-enfer-xml-209-2599.html
 サイトでは33ユーロで売っていますが更に送料がかかります。


 ソロのCDを出しているアダム・ウールフは、Webサイトがあり、 Sackbut Solutionsというサクバットのエチュード(基礎練習から代表的な作品まで網羅)を出しています。こちらは英語です。
 Adam Woolf http://www.adamwoolf.com/
 
Sackbut Solutions book - Woolf, Adam

 

  他に入手可能な楽譜としてリコーダー用の「笛の楽園」Jacob van Eyck「Der Fluyten Lust〜hof 」は装飾のパターンを覚えるために、とても勉強になります。

 ヨーロッパではサクバットコースのある古楽のための講習会もあり、フランス、ノルマンディーのLisieuxや、イタリア、マルケ州Urbinoなどでは毎夏素晴らしい講習会があります。昼間はレッスンやアンサンブル、夜は充実した講師陣による教会などでのコンサートが目白押しで、古楽ファンには堪らないイヴェントです。
 日本でも濱田芳通、宮下宣子によるコルネット・サクバットセミナーというものを毎年開いており、2015年も10月10〜12日、新木場のBumB東京スポーツ文化館での開催が決まっています。
 また、個人的なレッスンも随時行なっております。ご興味ある方はどうぞお知らせ下さい。

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プレトリウス著音楽大全(シンタグマムジクム)より古楽金管楽器の図
プレトリウス著音楽大全
(シンタグマムジクム)より古楽金管楽器の図
(クリックすると拡大します)
サクバットのスライドの説明図
サクバットのスライドの説明図

 

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